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制度対応・教室

教室のホームページに
「特定商取引法に基づく表記」は要るのか

ネットショップでよく見る、あの表記です。教室のホームページにも要るのかどうかは、申込みをどこで受けるかで決まります。消費者庁の解説をもとに整理しました。

最終更新:2026年11月5日

先に結論

  1. ホームページは教室の紹介だけにして、申込みは教室で対面で受けるなら、ホームページは通信販売の「広告」に当たらないと考えられます。この場合、特定商取引法に基づく表記は義務ではありません。
  2. ホームページを見た人から、フォーム・電話・メール・LINEなどで入会や受講の申込みを受けるなら、通信販売に当たると考えられます。有料の体験レッスンの申込みも同じです。料金・支払いの時期と方法・解約の決まり・事業者の氏名と住所と電話番号などを、ホームページに表示する必要があります。
  3. これとは別に、語学教室・学習塾・家庭教師・パソコン教室で、期間が2か月を超え、総額が5万円を超える契約は「特定継続的役務提供」に当たります。申込みの受け方に関係なく、書面の交付やクーリング・オフの決まりがかかります。ピアノ・書道・体操・料理などの教室は、この決まりの対象外です。

1. 「特定商取引法に基づく表記」とは何か

特定商取引法は、訪問販売や通信販売など、トラブルになりやすい取引の決まりを定めた法律です。ネットショップの下の方にある「特定商取引法に基づく表記」は、このうち通信販売の広告に表示しなければならない事項をまとめて載せたものです。

消費者庁の解説では、通信販売を「事業者が新聞、雑誌、インターネット等で広告し、郵便、電話等の通信手段により申込みを受ける取引のこと」と説明しています。物の販売だけでなく、レッスンのような「役務(サービス)」も含まれます。また、個人で教室を営んでいる人も、ここでいう事業者に当たります。

ここでの「通信手段」は、ホームページのフォームに限りません。電話・メール・LINE・FAXも含まれます。つまり教室の場合も、ホームページを見た人から、電話・メール・LINE・フォームなどで申込みを受けるなら、ネットショップと同じ決まりがかかります。

なお、通信販売にはクーリング・オフの制度がありません。そのかわりに、申込みの撤回や解約の決まりを広告に表示する義務があります。

2. 自分の教室はどれに当たるか

分かれ目は、ホームページが通信販売の「広告」に当たるかどうかです。消費者庁は、事業者がその広告を見た人から通信手段で申込みを受ける意思が明らかで、見た人がその表示から申込みができるものを広告としています。

ホームページの使い方 特定商取引法に基づく表記
教室の紹介だけ。申込みは教室で対面で受ける(電話やLINEでは入会を受け付けない) 通信販売の広告には当たらないと考えられます。表記の義務はありません。ただし、体験のあとに家から電話やLINEで「入会します」と連絡してもらい、それで入会が決まる形は、下の段と同じ扱いになり得ます。入会の手続きそのものは教室で行う形にしておくと分かりやすくなります
「入会のお申込みはお電話・LINEで」と書き、実際にそれで入会が決まる 通信販売に当たると考えられます。表記が必要です
フォームで入会・受講の申込みを受ける 通信販売に当たります。表記が必要です。申込みの最後の確認画面にも決まりがあります(次の章)
有料の体験レッスンの申込みをフォームや電話で受ける 体験も有料のサービスなので、通信販売に当たると考えられます。体験料が数百円でも、当日に現金で払う形でも同じです
オンライン決済で月謝やチケットを買ってもらう 通信販売に当たります。表記が必要です。前払いで、受講の開始まで日が空くときは、申込みを受けたかどうかなどを知らせる通知も必要です
無料体験の予約だけをフォームで受ける 消費者庁の解説には、この場合を直接扱った記載が見当たりません。体験のあとの入会もフォームや電話で受けるなら、上の段と同じ扱いになります

無料体験の予約フォームだけの教室は判断に迷うところです。迷う場合は表記のページを用意し、氏名や住所は「請求があれば遅滞なくお送りします」として省略する方法も検討できます(次の章)。

3. 表記が必要な場合に載せること

消費者庁の一覧から、教室でよく関係するものを抜き出しました。

レッスンの料金 月謝・入会金など、レッスンそのものの対価
料金以外にかかるお金 教材費・施設費・発表会の参加費など、その内容と金額
支払いの時期と方法 「毎月○日までに口座振替」のように具体的に
レッスンの提供時期 いつから受けられるか
申込みの期限 「今月中の入会で入会金無料」のように期限を決めて募集するときは、その旨と内容
申込みの撤回・解約の決まり 退会の申し出の期限、途中でやめた場合の返金の扱い、違約金や退会金があればその内容と金額。期間を決めて続けるレッスンでは、途中で解約する方法を分かりやすく示すことが求められています
継続して契約する必要があるとき その旨と条件
特別な条件があるとき 販売数量の制限など、特別な提供条件があるときはその内容。教室では定員・対象年齢・入会の条件などが当たり得ます
事業者の氏名・住所・電話番号 個人の場合は戸籍上の氏名(または登記した商号)。屋号や教室名だけでは足りません。住所は実際に活動している場所、電話番号は確実につながる番号です。法人の場合は、代表者か通信販売の責任者の氏名も

フォームで申込みを受けるときの確認画面

フォームで申込みを受ける場合は、送信する前の最後の確認画面にも決まりがあります。回数や期間(分量)、料金、支払いの時期と方法、レッスンの開始時期、解約の決まり、期限を決めて募集しているときはその期限と内容を表示し、送信ボタンを押すと申込みになることが分かるようにします。表示が欠けていたり紛らわしかったりすると、生徒側が申込みを取り消せる場合があります。

教室のフォームは、送ると申込みになるのか、ただの問い合わせなのかがあいまいな作りになりがちです。どちらなのかを、ボタンの文言と説明ではっきりさせておくのが大切です。

自宅の住所や本名を出したくない場合

自宅で教室を開いている人には気になるところだと思います。消費者庁の解説では、請求があれば遅滞なく書面や電子メールで提供するとホームページに書き、実際にすぐ送れる体制を整えていれば、氏名・住所・電話番号などは省略できるとしています。

ただし、全部を省けるわけではありません。消費者庁の通信販売のページにある省略の可否の表では、料金を全部表示する場合は、前払いの支払時期は省略できないとされています。継続して契約する場合の条件や、申込みの期限は、どちらの場合も省略できません。実際には、料金と支払いの決まりはホームページに載せておくのが現実的です。

また、省略できるのはホームページ上の表記についてだけです。フォームで申込みを受ける場合、最後の確認画面には料金・支払い・解約の決まりなどを省略せずに表示する必要があります。また「遅滞なく」とは、申し込むかどうかを決める前に十分な余裕をもって届くことだと説明されています。

4. 語学教室・学習塾などは、もう一つの決まりがある

特定商取引法には「特定継続的役務提供」という別の決まりもあります。長期間・高額になりやすいサービスを対象にしたもので、現在は7つの役務が指定されています。教室に関係するのは次の4つです。ピアノ・書道・体操・料理などの教室は対象外なので、この章は読み飛ばして5章へ進んでかまいません。

語学教室 語学を教えるもの。英検などの資格試験対策や、日本語教室も含まれます。入試対策や学校の補習は除かれます(そちらは学習塾・家庭教師の区分)
学習塾 入試対策や学校の補習を、教室など事業者が用意した場所で教えるもの。小学校・幼稚園の受験対策と、浪人生だけのコースは含まれません
家庭教師 入試対策や補習を、事業者が用意した場所以外で教えるもの。電話やテレビ電話による指導も含まれます。小学校・幼稚園の受験対策は含まれません
パソコン教室 パソコンやワープロの操作を教えるもの

対象になるのは、期間が2か月を超え、かつ総額が5万円を超える契約です。総額には入学金・受講料・教材費なども含めて数えます。消費者庁のQ&Aでは、1か月ごとに更新する月謝制の学習塾は、原則としてこの決まりを受けないと説明しています。ただし、教材の購入などで実際には長く縛られる場合は対象になることがあります。

チケット制や回数券にも注意が要ります。有効期限があればその期限を期間とみなし、有効期限がないものは常に2か月を超えるとみなされます。月謝制ではない英会話教室などで、まとめて5万円を超える回数券を売る場合は、対象になり得ます。

対象になった場合の主な決まり

途中解約のときに請求できる額の上限は次のとおりです。

役務 レッスン開始前 レッスン開始後(受けた分の料金に加えて)
語学教室 1万5,000円 5万円か、契約残額の20%のいずれか低い額
学習塾 1万1,000円 2万円か、1か月分の授業料のいずれか低い額
家庭教師 2万円 5万円か、1か月分の授業料のいずれか低い額
パソコン教室 1万5,000円 5万円か、契約残額の20%のいずれか低い額

この決まりは、窓口で契約した場合にもかかります。ホームページを作るかどうかとは別の話なので、対象になりそうな教室は、まず契約書と概要書面の中身を確かめてください。

オンラインで教える・ネットで契約する場合

5. ホームページでできること

表記の義務がない教室でも、料金と退会の決まりをホームページに書いておく意味はあります。入会を考えている人がいちばん気にするのは、月謝のほかにいくらかかるのか、やめたくなったらどうなるのか、という点だからです。

料金は総額が分かるように

月謝だけでなく、入会金・教材費・発表会の費用なども並べて書く。後から増える費用は、トラブルの元になりやすいところです。

退会の決まりを書いておく

「退会は前月○日までにお申し出ください」のように、申し出の期限と返金の扱いを書く。体験の前に読めると、申し込む側も安心できます。

実績は事実の範囲で

合格者数や上達の事例は、時期や人数を添えて書く。事実と違う実績や、実際より良く見せる表示は、どの教室でも景品表示法の優良誤認表示に当たるおそれがあります。通信販売や特定継続的役務提供に当たる場合は、特定商取引法でも禁止されています。

料金と入会の流れが伝わる教室のホームページ

当方では、教室・習い事の小さな事業所向けに、完成済みのデザインから選んで内容を差し替える方式でホームページを制作しています。教室向けの見本には、コースと月謝の表、入会までの流れ、体験レッスンの申込み案内(電話番号と申込みボタン)を用意しています。

見本は、体験の申込みを電話などで受け、入会の手続きは教室で行う作りです。このうちピアノと書道の見本は体験料ありの想定なので、実際の制作では表記のページを加えます。ほかにも体験が有料の場合や、ホームページから入会・決済まで受けたい場合は、特定商取引法に基づく表記のページの枠(項目の見出し)をご用意します。載せる内容と表記が必要かどうかの判断は教室側で行っていただき、必要に応じて消費生活センターや専門家にご確認ください。

教室・習い事のデザインを見る

見本はすべて実際に動くサンプルです。教室名・数値・料金はすべて架空のものです。

参照した情報

この記事は2026年11月5日時点で消費者庁の「特定商取引法ガイド」に掲載されている解説をもとに整理したもので、法律の条文そのものではありません。個別の教室が対象になるかどうかは、契約の内容によって変わります。判断に迷う場合は、お住まいの地域の消費生活センターや、弁護士・行政書士などの専門家にご確認ください。