先に結論
- 2025年(令和7年)4月1日から、運営規程の概要などの重要事項をウェブサイトに掲載・公表することが、原則としてすべての介護サービス事業者の義務になりました。1年間あった経過措置は2025年3月31日で終了しています。
- 掲載先は「法人のホームページ等」または「介護サービス情報公表システム」のどちらでも構いません。自社ホームページがなくても、情報公表システムに載せれば義務は満たせます。
- ウェブに載せても、事業所内での書面掲示はなくなりません。両方が必要です。
1. 何が義務になったのか
令和6年度介護報酬改定にともなう運営基準(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準など)の改正で、事業所の重要事項の「掲示」に関する規定が見直されました。従来からの事業所内での書面掲示に加えて、同じ内容をウェブ上でも公表することが求められる形になっています。
ここでいう「重要事項」は、基準省令の掲示に関する条文が挙げている次のような事項です。サービス種別によって表現に差がありますが、おおむね共通しています。
- 運営規程の概要(事業の目的・運営方針、営業日・営業時間、提供するサービスの内容と利用料、通常の事業の実施地域など)
- 従業者の勤務の体制(職種・員数・業務内容)
- 事故発生時の対応
- 苦情処理の体制
- 秘密の保持に関する事項
- その他、利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項
実務上は、すでに作成している重要事項説明書と運営規程をそのまま公表する事業所が多くなっています。ただし重要事項説明書には利用者ごとの記載や職員の個人情報が入っていることがあるため、そのまま出すのではなく、公表用に個人情報を落とした版を用意してください。
2. どこに載せればよいか(2つの選択肢)
掲載先として認められているのは「法人のホームページ等」または「介護サービス情報公表システム」です。どちらか一方で構いません。特徴が違うので、事業所の状況で選んでください。
| 介護サービス情報公表システム | 自社(法人)のホームページ | |
| 費用 | かかりません。すでに使っているシステムです | 制作費・維持費がかかります |
| 掲載のしかた | システムにログインし、運営規程や重要事項のファイルを添付します。ファイル形式・容量に制限があります(PDF・Excel・Wordなど、1ファイルあたりの上限あり) | PDFを置いてリンクする、またはページとして書き起こします |
| 向いている事業所 | 義務を満たすことが目的で、ウェブから利用者や職員を集める予定がない事業所 | 家族からの相談や求人応募も受けたい事業所 |
| 注意点 | 検索エンジンから事業所名で探されたときに、自事業所の説明として出てくるのはシステムのページになります | 内容を変更したら自分で差し替える必要があります。古い情報が残ったままだと指摘を受ける可能性があります |
誤解されやすいところですが、この義務は「ホームページを作りなさい」という義務ではありません。情報公表システムだけで完結させることは制度上まったく問題ありません。費用をかけずに義務を満たしたいのであれば、そちらで済ませるのが合理的です。
3. 書面掲示は続きます
ウェブ掲載は書面掲示の代わりではなく、追加された義務です。事業所の見やすい場所への掲示(または、備え付けたファイルを利用申込者などが自由に閲覧できるようにする方法)は、これまでどおり必要です。ウェブに載せたので事業所内の掲示を外した、という対応は基準を満たさなくなるので注意してください。
4. いつからか、対応していないとどうなるか
規定自体は2024年(令和6年)4月から施行され、2025年(令和7年)3月31日までは経過措置期間とされていました。この期間はすでに終了しているため、現在は義務として運用されています。
対応していない場合、ウェブ上で重要事項が確認できない状態そのものが運営基準を満たしていないことになり、実地指導などの際に指導の対象になり得ます。ただちに罰則や指定取消につながるという性質のものではありませんが、指摘されれば是正を求められます。制度の運用や確認の方法は自治体によって差があるため、詳しくは指定を受けている自治体の介護保険担当課の案内をご確認ください。
5. 障害福祉サービスも同じ方向です
障害福祉サービス等でも、運営規程の概要等の重要事項について、事業所内での書面掲示またはファイル閲覧に加えてウェブサイトへの掲載・公表が求められる形に改正され、令和7年度から義務化されています。掲載先には障害福祉サービス等情報公表システムが使えます。就労継続支援B型やグループホームなどを運営している事業所も、介護と同じ整理で確認してください。
6. 今日できる確認
5分でできるチェック
- 介護サービス情報公表システムで自事業所を検索し、運営規程・重要事項のファイルが添付されているか見る
- 添付されている場合、その内容が最新か確認する(職員体制・利用料・営業時間の変更が反映されているか)
- 自社ホームページに載せている場合は、リンク切れになっていないか、PDFが開けるか確認する
- 公表しているファイルに、職員の個人情報や利用者に関する記載が残っていないか確認する
- 事業所内の書面掲示が、ウェブに載せた内容と食い違っていないか確認する
7. よくある質問
- ホームページがないと、この義務に違反することになりますか。
- いいえ。介護サービス情報公表システムに掲載すれば義務は満たせます。ホームページの有無と義務の充足は別の話です。
- 重要事項説明書のPDFを1つ載せるだけでよいですか。
- 掲示が求められている事項が漏れなく含まれていれば、形式は問われません。ただし重要事項説明書に含まれていない項目(勤務体制の詳細など)がある場合は、運営規程などを併せて掲載してください。
- ウェブに載せたので、事業所内の掲示はやめてよいですか。
- やめられません。書面掲示(またはファイル閲覧)とウェブ掲載の両方が必要です。
- 年1回の情報公表制度の報告とは別のものですか。
- 制度としては別です。介護サービス情報公表制度には従来から年1回の報告がありますが、今回のウェブ掲載義務は運営基準側で求められているものです。ただし掲載先として情報公表システムを使えるため、実務では同じシステム上で処理することになります。
義務対応のためだけなら、ホームページは要りません
上に書いたとおり、情報公表システムだけで義務は満たせます。それでもホームページを作る価値があるのは、目的が別にあるときです。ご家族が事業所名で検索して雰囲気を確かめるとき、求人に応募するかどうか迷った人が職場を見るとき、情報公表システムのページだけでは伝わらないことがあります。
当方では、介護・障害福祉の小さな事業所向けに、完成済みのデザインから選んで内容を差し替える方式でホームページを作っています。重要事項・運営規程を掲載する枠と、指定事業所番号を載せる会社概要の枠は、あらかじめデザインに組み込んであります。
介護・福祉のデザイン見本を見る見本はすべて実際に動くサンプルです。会社名・数値・料金はすべて架空のものです。