先に結論
- 障害福祉サービス事業者に関わる「公表」には、性格の違うものが3つあります。混ざったまま覚えていると、片方だけやって片方が抜けます。
- 令和7年度から義務になったのは、運営規程の概要などの重要事項をウェブサイトに掲載することです。掲載先は法人のホームページでも、障害福祉サービス等情報公表システムでも構いません。
- 情報公表システムへの年1回の定期報告は、これとは別に以前からある制度です。定期報告を出しているからといって、重要事項がウェブで見られる状態になっているとは限りません。
1. 3つの制度を並べて見る
まず全体像です。それぞれ根拠も目的も違うので、担当者の頭の中で1つにまとめてしまうと抜けが出ます。
| 重要事項のウェブ掲載 | 情報公表システムの定期報告 | 経営情報の報告 | |
| 何を | 運営規程の概要、従業者の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制など | 事業所の基本情報や運営状況など、システムの入力項目に沿った登録情報 | 事業所の収益・費用など経営に関する情報 |
| どこに | 法人のホームページ等、または障害福祉サービス等情報公表システム | 障害福祉サービス等情報公表システム | 障害福祉サービス等情報公表システム |
| いつ | 常時(内容を変えたら更新する) | 年1回。報告の期間は都道府県等の実施要綱で定められ、例年春ごろに開始します | 毎会計年度終了後3か月以内 |
| いつから | 令和7年度から義務 | 平成30年4月の制度開始から | 令和6年度から順次 |
2. 重要事項のウェブ掲載義務(令和7年度から)
令和6年度の報酬改定にともなう運営基準の見直しで、事業所は運営規程の概要等の重要事項について、事業所内での書面掲示またはファイル閲覧に加えて、ウェブサイトに掲載・公表することが求められる形になりました。介護保険サービスで先に整理された内容と同じ方向の改正です。
掲載の対象になるのは、基準省令の掲示に関する条文が挙げている次のような事項です。
- 運営規程の概要(事業の目的・運営方針、営業日・営業時間、提供するサービスの内容と利用料など)
- 従業者の勤務の体制
- 事故発生時の対応
- 苦情処理の体制
- その他、利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項
掲載先は、法人のホームページでも、障害福祉サービス等情報公表システムでも構いません。自社ホームページを持っていない事業所は、公表システムに重要事項のファイルを添付する形で対応できます。ホームページを作らないと義務違反になる、という制度ではありません。
あわせて注意したいのが、ウェブに載せても事業所内の書面掲示はなくならないという点です。掲示(または備え付けたファイルを閲覧できるようにする方法)とウェブ掲載は、両方が必要です。
3. 情報公表システムの定期報告(年1回)
障害福祉サービス等情報公表制度は平成30年4月から始まった制度で、事業者は登録情報について年1回報告することとされています。運営しているのは独立行政法人福祉医療機構(WAM)で、承認された情報はインターネット上で誰でも閲覧できます。
報告の受付は年度ごとに案内され、令和8年度分は5月1日から開始しています。締切や細かい手順は都道府県・指定都市・中核市などが定める実施要綱によるため、指定を受けている自治体の案内を確認してください。
4. 経営情報の報告
経営情報の見える化にともなう報告も、公表システム上で行います。障害者総合支援法の施行規則に基づき、事業者の経営情報について毎会計年度終了後3か月以内に報告することとされています。収益・費用などの数字を扱うため、会計の締めと連動する作業になります。
この報告は、事業所ごとの数字がそのまま個別に公開されることを目的としたものではなく、集計・分析のために集められる性格のものです。重要事項の公表とは目的が異なります。
5. いちばん多い取りこぼし
実務で起きやすいのは、次の2つです。
- 定期報告は毎年きちんと出しているが、重要事項のファイルが添付されておらず、ウェブ上で運営規程や重要事項説明書を見られる状態になっていない
- 自社ホームページにPDFを置いたものの、料金改定や職員体制の変更が反映されず、古い内容のまま残っている
どちらも「やっていないつもりはない」のに要件を満たしていない状態です。年に一度、次のチェックだけ回しておくと防げます。
5分でできるチェック
- 公表システムで自事業所を検索し、運営規程・重要事項のファイルが添付され、実際に開けるか確認する
- その内容が最新か確認する(利用料、営業時間、職員体制、苦情受付の窓口)
- 自社ホームページに載せている場合は、リンク切れとPDFの開きやすさを確認する
- 公表しているファイルに、職員や利用者の個人情報が残っていないか確認する
- 事業所内の書面掲示と、ウェブに載せた内容が食い違っていないか確認する
6. よくある質問
- ホームページがなくても対応できますか。
- できます。障害福祉サービス等情報公表システムに掲載すれば、重要事項のウェブ掲載義務は満たせます。
- 定期報告を出していれば、ウェブ掲載義務も満たしたことになりますか。
- 報告を出したことと、重要事項がウェブで見られる状態になっていることは別です。公表システムを使うのであれば、重要事項のファイルが添付され、実際に公開されているかまで確認してください。
- 介護保険サービスと障害福祉サービスの両方を運営しています。対応は別々ですか。
- 制度としては別で、使うシステムも介護サービス情報公表システムと障害福祉サービス等情報公表システムに分かれます。ただし掲載する中身の考え方は同じなので、事業所ごとに最新の重要事項をそろえておけば作業はまとめられます。
義務対応だけなら、ホームページは要りません
ここまで書いたとおり、公表システムだけで義務は満たせます。それでもホームページを作る事業所があるのは、目的が別にあるからです。相談支援専門員やご家族が事業所名で検索したとき、公表システムの制度的な表示だけでは、どんな雰囲気の場所でどんな作業をしているのかまでは伝わりません。職員募集も同じです。
当方では、障害福祉・介護の小さな事業所向けに、完成済みのデザインから選んで内容を差し替える方式でホームページを作っています。重要事項・運営規程を掲載する枠と、指定事業所番号を載せる会社概要の枠は、あらかじめデザインに組み込んであります。
介護・福祉のデザイン見本を見る見本はすべて実際に動くサンプルです。事業所名・数値・料金はすべて架空のものです。