小さな事業所のためのホームページデザイン見本帳 介護・福祉のデザインを見る
介護・障害福祉と利用者家族

介護の事業所を家族が選ぶとき、
ホームページで見ているもの

ホームページが利用者を連れてくるわけではありません。効くのは、紹介されたあとに確かめられる場面です。

最終更新:2026年8月16日

先に結論

  1. 介護サービスの入口は、ケアマネジャーや地域包括支援センターからの紹介が中心です。ホームページを作れば利用者が増える、という因果ではありません。そこは変わらないものとして考えたほうが現実的です。
  2. ただし、紹介を受けた家族の多くは、決める前に事業所名で検索します。ホームページが効くのはこの「確かめる場面」です。連れてくるのではなく、迷いを減らす道具として使います。
  3. 介護サービス情報公表システムには制度上の情報が載っていますが、家族が知りたいのは「誰がいて、実際にどう過ごすのか」です。ページに書く価値があるのは、公表システムに載っていないことだけです。

1. 事業所は検索で選ばれていない

最初にはっきりさせておきます。在宅サービスを使い始める人の多くは、要介護認定を受けてケアマネジャーがつき、そこから事業所を紹介される流れで決まります。施設も、地域包括支援センターや病院の相談員を経由することが多くなります。家族が検索して事業所を見つけ、そのまま申し込む、という順番はまれです。

ですので「ホームページを作れば問い合わせが来る」という前提で費用をかけると、たいてい合いません。ここを最初に外しておかないと、作ったあとに数字が動かず、無駄だったという結論になります。

それでも意味があるのは、次の場面です。ケアマネジャーから2つか3つの事業所を挙げられた家族は、その場では決めきれず、持ち帰って調べます。親を預ける先を、パンフレット1枚で決められる人はあまりいません。このとき事業所名で検索して何も出てこなければ、判断材料は紹介時の説明だけになります。

費用をかけずにできることが先にあります。Googleビジネスプロフィールを登録して、外観の写真・所在地・電話番号・営業時間を入れておくだけでも、検索したときに事業所として認識される状態になります。地図に出るようになるのも同じ仕組みです。ここは無料でできるので、ホームページより先に済ませてください。

2. 情報公表システムに載っていることと、家族が知りたいこと

介護サービス情報公表システムは、利用しようとしている人が事業所を比較・検討して選べるようにするための仕組みです。所在地、法人情報、従業者に関する情報、提供サービスの内容、利用料などの基本的な項目に加えて、権利擁護の取組、サービスの質の確保への取組、相談・苦情等への対応、安全・衛生管理の体制といった運営情報が公表されています。

制度としてよくできていますが、家族が知りたいことと重なる範囲は限られます。並べると違いがはっきりします。

情報公表システム 自事業所のホームページ
載っていること 所在地、法人情報、職員数、サービス内容、利用料、各種取組の実施状況 制限なし。何を載せるかは自分で決める
分かること 制度上の条件を満たしているか。他と比べて項目が埋まっているか 誰がいて、1日をどう過ごし、どんな雰囲気か
読み手 比較検討の段階。項目を突き合わせて見る ほぼ決まりかけている段階。不安を消しに来る
更新 都道府県への報告に合わせて行う いつでも直せる。直さなければ古いまま残る

つまり両者は競合しません。公表システムに載っている項目をホームページに書き写しても、家族の判断材料は増えないということです。書く価値があるのは、公表システムでは分からない部分だけです。

3. ページに載せる項目

「持ち帰って調べている家族の不安を1つずつ消す」という基準で選ぶと、次のようになります。制度上の項目と重ならないものを中心に挙げました。

1日の流れ

何時に迎えに行き、何をして、何時に帰るのか。時間で書く。デイサービスでは最も読まれる部分。

食事

誰が作るか(施設内調理か配食か)、きざみ食やミキサー食に対応できるか、体調に合わせた変更はできるか。

入浴

週に何回か、個浴か大浴槽か、機械浴があるか。同性介助の可否を気にする家族は多い。

職員体制

何人でみているか、看護職員がいる時間帯、夜間の配置。人数は公表システムにも出るが、時間帯の説明はここにしかない。

建物と部屋の写真

外観、玄関、居室、浴室、食堂。飾らない写真でよい。写っていないことのほうが不安になる。

費用の目安

自己負担割合で変わることを明記したうえで、代表的なケースの月額例を出す。介護保険外の実費(食費・おむつ代・レク材料費)を落とさない。

受け入れの範囲

医療的ケア、認知症の程度、看取り、車いすや寝たきりへの対応。断る条件を書くほど、問い合わせの精度が上がる。

送迎の範囲

どの地域まで行くか、何時ごろの迎えになるか。エリア外の相談に応じるかどうかも書く。

見学と相談の窓口

見学できる曜日と時間、当日でよいか予約が要るか、誰に連絡すればよいか。調べた家族が最後に必要とする情報。

逆に、書いても判断材料にならないのは「アットホームな雰囲気」「利用者様に寄り添ったサービス」「安心してお過ごしいただけます」といった言葉です。どの事業所も同じことを書いているので、読んだ家族の側では差がつきません。同じ印象を伝えたいなら、そう思える具体的な事実を1つ書くほうが伝わります。職員の平均勤続年数でも、レクリエーションの実際の内容でも構いません。

4. 書き方の注意

実際より良く見せる表示はできません

景品表示法は商品だけでなくサービス(役務)も対象です。同法第5条第1号は、サービスの内容について、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に示す表示を禁じています。介護サービスも例外ではありません。

気をつけたいのは、意図的な誇張よりも、古い情報が残っている場合です。看護師が常駐しなくなったのにその記載が残っている、対応をやめた医療的ケアが載ったまま、といった状態は、実態と違う表示になります。体制が変わったらページも直す、という手順を決めておいてください。

費用の書き方にも注意が要ります。介護保険の自己負担は所得によって割合が変わるため、1つの金額だけを大きく出すと、実際の請求額と食い違います。「1割負担の方の場合」と条件を書いたうえで、保険外の実費を含めた月額の例を示す形が安全です。要介護度によって変わることも一言添えてください。

利用者が写る写真は同意を取ってから

利用者の顔が分かる写真や、氏名・体調・家族構成が分かる記述を載せる場合は、本人と家族の同意が必要です。個人情報の取扱いにあたるうえ、肖像の問題もあります。口頭で了解を得ただけにせず、書面で残してください。

実務上は、後ろ姿や手元だけを撮る、行事の写真は顔が判別できない角度にする、という運用にしている事業所が多くなっています。利用者の声を載せたい場合も、掲載範囲を具体的に説明したうえで同意を取り、いつでも取り下げられることを伝えておくのが安全です。退去や契約終了のあとも掲載を続けるかどうかは、あらかじめ決めておいてください。

5. 費用をかけない順に並べると

この順番で足りるところまでで止める

  1. Googleビジネスプロフィールを登録し、外観の写真・電話番号・営業時間・地図を正しくする。無料でできて、検索したときに事業所として出てくる状態になる
  2. 介護サービス情報公表システムの自事業所のページを開いて、内容が最新か確認する。職員体制や利用料が古いままになっていないか見る
  3. ケアマネジャーに渡している紙の資料を見直す。1日の流れ・費用の例・見学の窓口が入っているか。紙で足りているなら、それでよい
  4. 持ち帰った家族が見る場所が必要だと感じたら、ホームページを用意する。1ページで足りることが多い
  5. 作ったら、紹介時の資料に住所(URL)を1行入れる。これをやらないと見られないまま終わる

4番まで行かずに済む事業所もあります。すでに紹介が途切れず埋まっているなら、ホームページに費用をかける理由はありません。判断の材料は「見学まで来た家族が、その場で決めずに持ち帰ることがどれくらいあるか」です。持ち帰りが多いなら、持ち帰った先に何もない状態を埋める価値があります。

なお、2025年4月から重要事項のウェブ掲載が義務になっていますが、これは情報公表システムへの掲載でも満たせます。義務のためにホームページを作る必要はありません。詳しくは下の記事にまとめてあります。

1ページで足りる構成の見本があります

当方では、介護・障害福祉の小さな事業所向けに、完成済みのデザインから選んで内容を差し替える方式でホームページを作っています。この記事で挙げた項目(1日の流れ、費用の目安、受け入れの範囲、見学の窓口)を上から順に置いた構成も、見本として用意してあります。

文章は、メモ書き程度の情報をいただければこちらで整えます。写真がない場合の進め方もご相談ください。

介護・福祉のデザイン見本を見る

見本はすべて実際に動くサンプルです。事業所名・数値・料金はすべて架空のものです。

参照した情報

この記事は2026年8月16日時点で公開されている情報をもとに整理したものです。表示や個人情報の取扱いなど法令に関わる部分は、最新の内容を消費者庁・個人情報保護委員会の案内でご確認ください。介護報酬や運営基準の解釈、個別の判断については、指定を受けている自治体の介護保険担当課にご相談ください。